コラム

安否確認は命綱~防災士が伝えたい企業の責任~

2025/7/22

安否確認は命綱

~防災士が伝えたい企業の責任~

 

災害が発生した直後、最も重要なのは「社員の安否を早急に把握すること」です。
これは初動対応の出発点であり、企業としての責任でもあります。

誰がどこで、無事かどうかをいち早く把握できる体制が整っていない企業は、混乱や判断ミスを引き起こしやすくなります。
地震発生後、社内外に連絡がつかず業務が麻痺した事例も多く、備えの有無で明暗が分かれます。

安否確認の手段は、メール・電話・チャット・専用アプリなど複数を用意するのが理想です。

さらに、連絡がつかないことを想定した定時連絡ルール集合・報告ポイントの事前設定も有効です。

 

✅ 定時連絡ルールとは?

災害時には通信が混雑・遮断されることがあり、安否確認が即時にできない場合も想定する必要があります。
そのため、「〇〇時になったら必ず安否状況を報告する」といった時間を決めた連絡ルールを、あらかじめ全社員で共有しておくことが重要です。

例:

・災害発生から3時間後に1回目の安否連絡(LINE・アプリ・電話など)

・以降、毎日午前9時と午後5時に安否報告

・電波状況が悪い場合は「SMS」や「Wi-Fi経由アプリ」での報告に切り替える

こうしたルールを決めておけば、即時連絡が難しくても、社員が「次の連絡の目安」を知っており、不安や混乱が減ります。

 

✅ 集合・報告ポイントの事前設定とは?

通信不能や出社不能となった場合を想定し、あらかじめ「この場合はここへ集合/ここに情報を貼る」といった行動指針を定めた場所を決めておきます。

例:

・会社の非常口前、最寄り避難所、近隣の公園などを「一次集合場所」と設定

・集合が困難な場合は、会社の掲示板、避難所の掲示板、所定のGoogleフォームで報告

・拠点が複数ある場合は、各拠点ごとに報告・伝言ポイントを定めておく

 

こうした物理的な「報告場所」を明示しておくことで、ネットが使えない状況でも最低限の情報共有が可能になります。

定時連絡と報告ポイントの設定は、「通信ができないこと」までを想定した備えです。

 

どちらも事前に周知し、訓練で実践しておくことが不可欠です。

災害は“計画外”で起きるものだからこそ、想定外を想定する企業姿勢が問われています。

 

また、連絡網が古くなっていないか担当者が異動していないかといった定期的な見直しも不可欠です。
安否確認の訓練を年1回でも実施することで、社員の意識と対応力が大きく変わります。

 

安否確認はシステムの問題だけではありません。
企業が社員の命を本気で守る姿勢は、信頼にもつながります。

ぜひ社内マニュアルやBCPに組み込んでください。

 

株式会社亀忠 編集部
株式会社亀忠 編集部

愛知県名古屋市に本社を構え、創業明治3年からノベルティの制作・企画・提案を行っている歴史ある会社です。